エコトピックス【カメの悠ちゃん】
神戸「須磨海浜水族園」にいる、アカウミガメの「悠ちゃん」。
悠ちゃんは推定25歳のメスです。
(甲羅の長さは約85センチ、体重122キロ。)
2008年に紀伊水道で漁師の網にかかったのですが、右の前脚の3分の1と、左の前脚の半分をサメに食いちぎられたとみられ、「須磨海浜水族園」で保護されました。
当時、傷が治れば海に戻すつもりだったんですが、中学生から「このまま戻して大丈夫?」といわれたことがきっかけで、世界でも珍しい人工ヒレの開発を始めました。
製作は、ソチパラリンピックで、チェアスキーの座席の製作でも注目された、大阪府大東市の「川村義肢」と、大阪市生野区の水着素材メーカー「山本化学工業」が無償で協力しました。
しかしそれは苦難の連続でした。
●2009年に1作目の人工ヒレができたが、前脚に直接取り付けると傷口が悪化してしまった。
●6作目からは甲羅ごと覆うジャケット方式に改めた。
しかし、水の抵抗が大きく、速く泳げない。なぜだ!
●20作目からはジャケットの小型化に挑戦、
ヒレとジャケットに、高品質のプラスチックやゴムの最新素材を使って速力向上を図った。
●34作目では、ジャケットの素材に切れ込みを入れることで、
立体型にして前脚の可動域を広くし、40日間の長期装着に成功した。
●ヒレの素材をさらに改良し、5年がかりの開発には日本の技術の粋が凝らされ、今年3月にできた最新作36作目にして、「これ以上の改善は不可能」という完成度になった。
最新作を身につけた「悠ちゃん」は、今月6日から一般公開されています。
素材が劣化する恐れがあるため、悠ちゃんは海には放流しませんが、
神戸空港島の人工海水池で、交尾や産卵に挑戦させるということです。