エコトピックス【海底2里】
フランスの小説家 ジュール・ヴェルヌの1870年の作品に
『海底二万里』(7万8千545 .4545km)がありましたが…
『アバター』、『タイタニック』などの大作を世に送り出した映画監督の
ジェームズ・キャメロンが、3月26日、海の中で最も深い「マリアナ海溝」の
「チャレンジャー海淵(かいえん)」に着底することに成功しました。
コレを実現するため、キャメロンさんは、7年の開発期間を費やし高さ7メートルの
「DEEPSEA CHALLENGER(ディープシー・チャレンジャー)号」を建造しました。
ジェームズ・キャメロン自身が「直立魚雷」と呼ぶ「たて長」の潜水艇は、
分速約150メートル(時速約9キロ)で回転しながら、
深海1万898メートルめざして降下していきます。
事前の想定では、チャレンジャー海淵に90分ほどで到達すると計算されていましたが、
実際には2時間36分かかって到達。
今回の海底探査は、最大6時間かけて、海溝の底の「標本」を採集したり、
ビデオを撮影したりする計画だでしたが、潜水艇の油圧系統に漏れが発生して
コックピットの窓を覆ってしまいい、視界が悪くなったこともあり、
ミッションは途中で打ち切られてしまいました。
しかし、チャレンジャー海淵を制覇した人類はキャメロンさんで3人目。
単独潜航としては史上初の快挙です。
チャレンジャー海淵の生態環境はほとんど解明されていないため、
キャメロンが採取した標本や、フィルムに収めた映像は、発表まで予測がつきません。
帰還した、ジェームズ・キャメロン曰く
「海底には広大な未知の領域がある。私たちがそこを理解するにはしばらく時間がかかるだろう。私の印象は、まったく月のようだというものだった。非常に孤独感があった。まるで、ある日、宇宙に出かけ、ほかの惑星に行って帰ってきたような気分だ」と話したということ。
キャメロンの作品には、89年製作の深海SF映画の傑作『アビス』や
「DEEP OCEANS 海底火山の謎」などがありますが、
今回の体験がどんな作品にフィードバックされるのか?期待したいところです。