エコトピックス【「ウナギ」のお話】
古くから日本の食文化に深い関わりを持つウナギですが、川と海を行き来したり、地上を這って移動するコトもできるなど、その生態は意外と知られていません。
研究者の間では、40年ほど前から、本格的に「ウナギの誕生の謎」を探る調査に力を入れていて、2005年まで、「どこの海で、どのように産卵するのか?」ということさえ、正確には把握されていませんでした。しかし、
日本の研究チームによる、40年来の調査によって、天然の「ニホンウナギ」が「海で産んだ卵」が、世界で初めて発見されました。
ニホンウナギの卵の、直径は平均1.6ミリ。その卵が孵化(ふか)するまでの間、海の中に「卵の形」で漂うのはわずか1日半。卵の捕獲はヒジョーに難しいとされてきました。
研究チームは過去の調査データから、産卵が「新月のころ」に行われると推定。日本から、およそ2500キロも離れた「ミクロネシア連邦」の経済水域である、マリアナ諸島の海域を集中的に調査した結果、ニホンウナギの卵を世界で初めて発見。
という偉業を達成しました。
ウナギの養殖には、年間1億匹近い「天然の稚魚」を捕まえて使っているそうですが、ニホンウナギの稚魚の漁獲量は1970年ごろに比べて1~2割程度に激減しています。さらに、稚魚の「生き残る率」が低く、養殖しようにも大量生産ができません。
この発見が何故すごいかというと…
今回の発見は、ウナギを卵から育てる「完全養殖」の実用化に役立つコトになり、おいしいウナギを「安く」「安定的に供給できる」可能性が高まったことを示しています。